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『伝え方が9割』佐々木圭一さんに聞く。
言葉を届ける技術と、それを磨く習慣

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ライオンでは、「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」をパーパス(会社の存在意義)に掲げています。

今回お話をうかがったのは、ご自身の経験のなかで発見した伝え方の技術を分析・体系化し、自身の体験とともに分かりやすく記してベストセラーになった『伝え方が9割』シリーズの著者としても知られる佐々木圭一さん。

コピーライターとしてさまざまなクリエイティブで多くの賞を獲得するなど精力的に活動、自ら立ち上げた「株式会社ウゴカス」代表取締役、上智大学非常勤講師などマルチにご活躍です。

そんな佐々木さんのプライベートな「習慣」から、日常で大事にしていること、相手に上手に伝えるコツまで、お話をうかがいました。

身体を鍛えるための「習慣」から見つけた思わぬ効果

『伝え方が9割』著者である株式会社ウゴカス代表取締役兼コピーライター 佐々木圭一さん|LION Scope | ライオン株式会社

10年ほど前から「ハードルが高そうだからあえて挑戦してみた」と、トライアスロンを続けている佐々木さん。スイム・バイク・ランの3種目を、ひとりで連続して行う過酷な耐久競技のレースに参加するため、ジムに通うことを習慣にしているそうです。最初はトレーニングのためでしたが、続けているうちに身体を鍛える以外の効果を見つけたと教えてくれました。

佐々木:大会に出ると、いつも辛くて「なんで出ているんだろう?」って思うんです(笑)。レースよりも友人とのトレーニングをしている時間のほうが私は好きですね。チームに経営者が多いから、情報交換できるので。事前にトレーニングをしておくと、タイムが少し早くなったりもします。

トライアスロンをする『伝え方が9割』著者である株式会社ウゴカス代表取締役兼コピーライター 佐々木圭一さん|LION Scope | ライオン株式会社

佐々木:それで、ちょっとおもしろいことに気づきました。
会社で仕事をしていて、一段落した後にトレーニングに行って、また会社に戻ってコピーを書いたりするのですが、トレーニングに行く前より、あとで書いたほうがいいコピーが書けるんです。筋トレや走って身体を動かしたあとにクリエイティブなことをやると、血が体中を回っているような気がして。多分、頭のなかも実際に血が回っているのだと思います。ですから、「習慣」でもありますし、いいコピーを書くためにも運動は続けています。

『伝え方が9割』著者である株式会社ウゴカス代表取締役兼コピーライター 佐々木圭一さん|LION Scope | ライオン株式会社

大事にしたいことを実現するための「習慣」を続けるモチベーション

佐々木さんは日常生活やビジネスでも大事にしている「習慣」があると語ってくれました。

佐々木:実際にできているかはわからないのですが、「そうなれたらいいな」という目標も含めて、大事にしているのは「成長する」ことですね。自分自身もそうですし、いっしょに仕事をする人が、昨日よりも今日のほうがほんの少しでも成長している。そんな毎日を過ごせたらいいなと考えています。

たとえば、コピーの書き方を私が社員に教える時間を月に1度とるなど、社内では勉強会を頻繁に行っています。
お互いが成長することを大切に考えて仕事をする、それは「習慣」になっていますね。

――その「習慣」を続けられているのはなぜでしょう?

佐々木:私が経営者であるというところが、大きな理由のひとつにあると思います。社員が成長すればするほど会社は発展するので、私が持っているものはすべて伝えようとしています。人生でたまたま出会って、たまたま一緒に働くことを選んでくれた社員のことを大切にしたい。それが、習慣化できていることの理由だと思います。

『伝え方が9割』著者である株式会社ウゴカス代表取締役兼コピーライター 佐々木圭一さん|LION Scope | ライオン株式会社

言葉には「センス」ではなく「技術」があると開眼した瞬間

現在はコピーライターとして活躍している佐々木さんですが、小さいころから転校が多く、コミュニケーションは苦手だったそうです。「実験のほうが自分には向いている」という思いで理系の大学に進学されますが、就職活動の際に一念発起し、コミュニケーションが必須となる広告会社に入社されます。

そこでいきなりコピーライターとして働くことになるのですが、書いても書いても上手くいかず、上司には書くだけ紙の無駄だという意味で「もっともエコでないコピーライター」と言われるほど、苦しい時期を過ごしたそうです。

佐々木:「どうしよう……」と、もがきながら暮らすなかで、映画やドラマ、CMを観ていて「この言葉いいな」と思ったら、それをノートに書き留めるということだけは習慣的に続けていました。

それで、あるときノートを見ていたら「この言葉とこの言葉、なにか似ているな」と、ふと思って……。ブルース・リーの映画『燃えよドラゴン』の「考えるな、感じろ」と、柔道の田村亮子(現在は谷亮子)選手の「最高で金、最低でも金」というふたつの言葉には両方とも、「考える」と「感じる」、「最高」と「最低」という反対の言葉が入っていますよね。

そこで、「正反対の言葉が入っていたら言葉って強くなる!」と直感して。伝え方には技術があると気づいた瞬間でした。その時から人生が劇的に変わりましたね。それまで私は、言葉はひらめきから生まれるものだと思っていたのですが、センスがなくても大丈夫なんです。

――多くの人は、上手く伝わらないときに「ダメだ」と諦めて終わってしまうことが多いと思います。佐々木さんがその点に気づいたのは、理系出身という部分が影響しているのでしょうか?

佐々木:あるのかもしれません。「なんでこうなるのだろう?」と考えるクセがありますね。たとえば最近では…サウナに行くと、カンカンという音がする場合があるじゃないですか。「なんでカンカン鳴るのだろう?」って、いま世の中で一番気になっています(笑)。言葉の法則を発見したのも同じで、ふたつの言葉を見て「なんか似ているな」と思ったときに、「なんで似ているのだろう?」と考えたのだと思います。

『伝え方が9割』著者である株式会社ウゴカス代表取締役兼コピーライター 佐々木圭一さん|LION Scope | ライオン株式会社

「伝え上手」になるために必要な習慣とは?

言葉を生みだすのは、センスではなく技術があると発見した佐々木さん。著書のなかでも「伝え上手は才能ではなく技術」と記しています。では、技術を磨くために必要なことはあるのでしょうか?

佐々木:伝え上手になるには「伝えるトレーニング」が有効です。スティーブ・ジョブズはプレゼンの天才だと言われていますが、いきなりあのスピーチができたのではないです。スピーチの事前に、ものすごく訓練をしていたとのこと。世界一伝えるのが上手な人でさえ、それだけの訓練を重ねているわけですから、一般人の我々が突然できるわけがない。つまり、トレーニングすれば、上手になれるのです。

たとえば、「この企画書作ってください」ではなくて、「この企画書作ってください。期待しています」と言われたほうが、相手は「頑張ろう」と思いやすいです。
これは、「認められたい欲」という伝え方の技術です。人は認められると相手の期待に応えたくなるのです。

この技術も1回だけ使うのではなくて、3回ぐらい使うと、4回目からはなんとなくスラっと使えるようになってきます。繰り返しトレーニングすると自然に使えるようになっていて、伝えるのも上手になっていきます。
何かを習得したいときには、「繰り返しやってみる」ことを習慣化することがおすすめですね。

強く伝えるためには「相手を想像する」ことが大切

伝え方は技術であり、訓練次第で誰でも上手になれると教えてくれた佐々木さんですが、その根底に忘れてはいけない大事なものがあると語ってくれました。

佐々木:もちろん技術もありますが、伝えるには、「相手を想像すること」が一番大切だと思っています。

株式会社ウゴカス代表取締役兼コピーライター 佐々木圭一さんの著者『伝え方が9割』と『伝え方が9割 2』|LION Scope | ライオン株式会社
伝え方の技術をわかりやすく教えてくれる佐々木さんの著書

佐々木:「相手のことを考えましょう」ということを、『伝え方が9割』に繰り返し書いています。この本のタイトルだけを見ると「中身がなくてもうまいこと言ってやれ」みたいな誤読をされることもありますが、実際に読んでいただくと「しっかり相手のことを想像すること」の大切さが書かれています。

私自身、コピーライターとしてうまくいってなかったころのことを考えると、やはり相手のことを想像して書いていなかったです。もし、その当時に書いたコピーが世に出ていたとしても、人の心には届かなかったですね。

言語化するとちょっと恥ずかしいのですが、相手のことを想像するというのは「愛すること」に行きつくのではないかと思っています。会うことはないかもしれないけれど「商品を買ってくれる人」がいる。その人を想像して、愛を持って日々コピーを書いています。

『伝え方が9割』著者である株式会社ウゴカス代表取締役兼コピーライター 佐々木圭一さん|LION Scope | ライオン株式会社

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