Vol.2夫婦で力を合わせる、そして心を合わせる~石巻市家事ギャップ解消セミナーレポート~
初開催は盛り上がりました!
2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けてから、復興に向けて進んできた宮城県石巻市。
2019年12月、ライオンと結んだ包括連携協定の一環として「夫婦円満都市推進プロジェクト」がスタートし、家事ギャップ解消セミナーが行われました。
初めての開催に集まったのは市民およそ30名。今回は夫婦での参加だけでなく、この取り組みに賛同してくれた様々な人たちが話を聞きに来てくれました。
そもそも家事ギャップとはどういうものなのか?という説明にはじまり、夫婦のコミュニケーションを助ける一般社団法人日本ほめる達人協会のほめ方セミナー。食器洗いの基礎知識を問う皿洗いセンター試験を実施した後は、調理室に移動してのアクティブラーニングでは実際にチームを組んでお皿を洗いました。
これまで各地のセミナーで実施してきた内容を石巻市の方々にもお伝えすると、笑いあり、苦笑いありとそれぞれの家庭での家事体験を振り返りながら楽しんでいただきました。
実際に参加した皆さんはどのような感想を持ったのでしょうか?
これから始まる共働き生活の準備になった
~二人三脚タイプの菅井夫妻 インタビュー
3人の元気なお子さんを子育て中の菅井さんご夫妻。
現在は育休中の妻にほとんどの家事をまかせっきりという夫の泰弘さんは、セミナーを受けて改めて感じたことがあったそうです。
「家事をシェアするという感覚が薄くなっていたと思います。最近はどちらかというと、どこかで”手伝う”というか協力するみたいな感じになっていましたけど、主体的に共有することを意識しないといけないと感じました。あとはやはりギャップがあることを知るのが大事だと実感しました」
これに対して妻は…。
「夫は私がテンパっていると、お願いする前に察してやってくれるタイプです。今は育休中で家にいるからできる部分もあるけど、これから仕事に復帰したらちょっと状況は変わってきます。手伝うという感覚ではなくて、一緒にやっていくという意識も持ってくれる意味でいい機会になったと思います」
互いのことを思いやる言葉が自然に出てくる二人。質問に片方が答えると「あ、私もそう思う」と共感しながら話す姿は息の合った二人三脚を見ているようでした。また食器洗いの方法についても「油汚れを拭きとらずに流してしまっていた」と同じポイントで間違ったことを苦笑いしながら話してくれました。二人で同じポイントを学べたことで、いい方向に進んでくれそうですね!
家事はやっぱり楽しいと再認識
~支えあいタイプの柴田さん夫妻 インタビュー~
結婚8年目の共働き夫婦、柴田さんご夫妻。お話を伺っている時の笑顔が絶えない明るいお二人。二人の娘さんたちも元気全開です。普段から家事は分担しているというお二人は得意なことが違うそうです。
夫の直人さんは料理が苦手。だからこそ料理を担っている妻への感謝を強く持っています。一方、朝が苦手な妻の小百合さんは、どんなに遅く帰っても次の日に早く起きて片づけをしてくれる朝に強い夫をすごいと感じているとか。互いの苦手な部分を補いあっている二人がセミナーを受けた感想はどうだったのでしょうか?
夫の直人さんは「皿洗いセンター試験の結果が悪かったのはちょっとショックでした(苦笑)でも、妻は点数が高くてさすがですよね。実際食器洗いをしている間も周りの方から“惜しい”と言われ、とても勉強になりました」と相変わらずの笑顔。
そんな夫の様子を見た妻小百合さんは、セミナーが始まる前から「夫はまだまだポテンシャルがある。もっともっと出来る人です」と笑っていましたが、家事に奮闘する夫の姿に目を細めながら「家事は楽しいことだと改めて認識できてよかった。そして協力するともっと楽しい。それも感じられました」と今まで以上に力を合わせていくことを誓っていました。
あの頃を反省。もう一度二人で楽しむきっかけに
~リラックスエンジョイタイプの松本さん夫妻 インタビュー~
ラストは、もうすでにお子さんが独立しているベテラン夫婦の松本さんご夫妻。とても仲睦まじい様子のお二人ですが、かつてはいろいろと大変だったそうです。
「セミナーを聞いていて怖かったです(苦笑)。夫婦にとって大事だと言われる子どもが産まれたばかりの頃もそうだったし、ずっと仕事が忙しくて全然家事をやっていなかったので。もう全て妻がやっていました。改めてその時のことを反省して挽回しようと必死です。もっとやっていたらよかったな」と夫の俊彦さん。
その様子を笑いながら聞いていた妻の真由美さんは「本当にやらなかったですね(笑)。でもそういう時代でしたしね。今の若い人たちが今日のセミナーを聞いて大事だなと思ってくれるいいきっかけだったと思いますよ」と優しい対応でした。
しかし、最近は夫俊彦さんも家事をするようになったと言います。何がきっかけだったのでしょうか?「子どもが巣立って二人になったし、自分のことは自分でやらないと思ったのもありますけど、二人だと家事の量も減るのでそんなに大変じゃなくて、やる気になるんです。今は食器を洗うのが好きです。妻からは水出しすぎと指摘されますけど(苦笑)。」二人になったことについては妻の真由美さんも前向きにとらえています。「確かに今はどうしてもやらなくちゃいけないというプレッシャーがないんです。やれる方がやれたらやる、くらいで充分。だから今は二人で楽しみながらやっています」
子育てに大変だった時期を越えたことで肩の力が抜け、自然体でお互い楽しんでいる様子は、見ていて微笑ましく、いつまでもそういう仲良し夫妻でいたいと感じさせてくれました。
それぞれタイプも違えば、ライフステージも違う3組の夫婦でしたが、それぞれの形で力を合わせて、また思いも互いに共感する形で夫婦円満な姿が印象的でした。このような夫婦に出会えるのも、復興という同じ目標に向かって団結してきた石巻ならではなのかもしれません。
石巻市での取り組みは始まったばかりです。これからもたくさんの前向きで協力的な夫婦に夫婦円満メソッドを届けていきたいと思います!
この記事を作成・監修した
マイスター
リビングケアマイスター
杉本 美穂
すぎもと みほ
家事関連の製品企画、マーケティングを約20年、生活者向け講習会などを約10年経験してきました。
毎日大変な料理や食事の後片付けなどを手早くラクにできるように、わかりやすくお伝えしていきます。