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製品紹介
弾力のあるラバーブラシが、しっかり歯垢を落とす! しなる毛先で驚きのツルツルを実現 「クリニカPRO ラバーヘッドハブラシ」
質の高い予防歯科の実践をサポートする『クリニカPRO』シリーズからブラシ部がラバー素材でできたハブラシを発売。弾力のあるラバーの毛先がしなりながら歯面に密着し、お口の様々なリスクの原因である歯垢を除去して驚くほどツルツルの仕上がりを実現する。また、毛先の当たり心地がソフトで、歯ぐきへの負担を気にせず快適なみがき心地を提供。ハブラシの形状は口の中で動かしやすく、すみずみまでしっかりみがけるよう、先端薄型ヘッドでスリムネックとなっている。
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市場調査の中で見つけたハブラシ、その形と新素材に感じた技術的可能性
「もしかするとこれまでの歯みがきを変えることができるのではないか。そんな期待がふくらんだのです」と、石川研究員は開発の起点を振り返る。
当時、新たな開発に向けて、市場にある様々な製品を調査していた。その中で目を引いたのが、通常の用毛ではない素材でブラシ部分がつくられていて、ヘッド部の見た目もまったく違うハブラシだった。触ってみると柔らかなラバー(ゴム)系の素材だとわかった。実際に歯をみがいてみてラバー素材独特のみがき心地の良さに驚かされた。この技術を使えば、これまでにはない新たな製品の開発につながるのではないかと、想像力がかきたてられた。
「従来のハブラシ(用毛ハブラシ)は、ヘッド部に用毛の毛束を植えて製造しますが、ラバー素材のハブラシは、ブラシ部とヘッド部を1つのパーツとして製造する、いわゆる一体成形技術※1を用いて作られています。ラバー素材と一体成形技術を掛け合わせることで、用毛やヘッド部のデザインまで含めて設計の自由度も飛躍的に広がると思いました。素材や形状、密度などを工夫すれば、これまでとはまったく違ったハブラシを開発できると考えたんです」
※1 複数の部品をまとめて1つの部品として加工する技術。
従来のブラシ部に用毛を使用したハブラシとは異なる感覚と、その先に垣間見えた可能性、これが石川研究員の開発意欲を刺激した。
「ラバー素材の毛は、弾力があるため、歯ぐきに当たる感覚がやさしい。また、ラバー素材による独特のしなりで、歯の表面にフィットするため歯垢がしっかり除去された実感がある。それは、普段の歯みがきでお口への負担が気になっていた人や、これまで歯みがきを続けてはいるものの、歯垢をちゃんと落とせていないのではと、自信が持てなかった人たちに対しての1つの価値になると思いました。ラバー素材の良さを生かしつつ、ハブラシ本来の目的である高い歯垢除去や口腔内の操作性を満たす製品を開発するには、どうすればいいのかと、考えるようになりました。」
みがき心地よく、汚れ落としもしっかり
石川研究員は、ラバー素材でブラシ部とヘッド部ができたハブラシ(ラバーヘッドハブラシ)の開発に向けて動き始めた。独特のみがき心地の良さは、たしかに強いインパクトを与える。しかし、予防歯科※2習慣の実践を目指すライオンのハブラシ開発では、歯の汚れを確実に落とせるのは大前提であり、口腔内すみずみへの操作性も満たす必要がある。また、ラバー素材でヘッド部分とブラシの毛先までを一体成形でつくるのは、当社初の試みとなるため、知見の少ない中での開発となる。これらの課題を解決するハブラシをどのように設計すべきか。
※2 むし歯等になってから治療するのではなく、むし歯になる前の「予防」を大切にする考え方。
「ラバー素材の毛は、従来のハブラシの用毛とは素材が異なるため、毛の形状や密度の違いで、お口全体への当たり具合やみがき心地、そして歯垢の落ち方も変わることが予想されました。ラバー素材特有の快適なみがき心地を保ちつつ高い歯垢除去力を実現したい。また、ライオンのハブラシとして、ヘッド部をコンパクト化し、高い操作性を満たす必要がありました」
口腔内での操作性を大きく左右する一因が、口の中に入るハブラシ部分の体積である。ヘッド部の幅、厚み、さらに毛の長さまでトータルで設計する必要があった。これまでのライオンの用毛ハブラシの中で最もコンパクトヘッドで、操作性が高いのは「クリニカアドバンテージ ハブラシ®」。このサイズに可能な限り近づけていくことが一つの目標になっていった。
「“ヘッド部の体積を小さくするコンパクト化”については、ハブラシの生産技術部門がすでに確立していた“一体成形技術を用いたヘッド部の厚みを薄くする技術(薄型化)”の知見を活用し、薄型化したヘッド部をさらにコンパクト化する検討を重ねました。ヘッド部の強度を確保しつつ、コンパクト化も両立することにこだわりながら、0.1mm単位でヘッド部のサイズを模索していくことは、とても難易度の高い取り組みでした。歯みがき時に口腔内に入るハブラシの体積を計算し、3Dプリンタなどを活用してプロトタイプを試作、その上で実際にみがいた時の使用感とヘッド部の耐久性などの品質評価を繰り返しました。目標としていたコンパクト化への目処がたって、生産技術部門と連携し、小ロット生産用の金型で試作段階へと進みました。そこからまた、同様の評価を繰り返しました。こうした試行錯誤の上、ヘッド部のサイズが決定しました。」と、青木研究員はラバーヘッドハブラシの開発プロセスを振り返る。
ラバー素材ならではの生活者価値を届けるための作り込み
ラバーヘッドハブラシならではの歯垢除去力を強化するために、用毛ハブラシとの歯垢の落とし方の違いは何かを検証してみた。すると、用毛ハブラシは、「毛先の束で歯面の汚れをかきとる」のに対し、ラバーヘッドハブラシでは、「歯面に密着して汚れをとる」ことがわかった。用毛ハブラシとは違う「歯の表面への密着性」がカギだった。そこで、ラバーヘッドハブラシの当たり心地の良さを保ちつつ、高い歯面密着性に繋がるラバー素材の硬度を検討した。柔らかすぎる素材では、優しい当たり心地はあるが、歯の汚れが落ちにくくなる。一方で、硬すぎると当たり心地が悪くなったり、力を入れたときに毛先が曲がって元に戻らなくなったりすることもある。複数の硬度で試作を繰り返し、ヘッド部の仕様を固めていった。
一連の開発プロセスについて石川研究員は「生活者に試作品でみがいてもらい、その声も反映させながら、詳細なブラシ部の仕様を詰めていきました。『歯みがきを楽しく感じた』などの声もあり、私たちが想定していなかった新たなハブラシの価値を見つけることにもつながりました」と振り返る。
歯みがきを新しい“ポジティブな”生活習慣に
「従来の用毛ハブラシとは外観や使用感が大きく異なる製品が出来るに違いない、と感じていたので、生活者に納得感を持って使用していただくために、ラバーヘッドハブラシの価値を的確に言語化して表現する必要があると考えました」と青木研究員は振り返る。
歯みがきをしたあとの感触を、どのように表現できればよいのか。議論を重ねた末にたどりついた言葉、それは“ラバー素材の毛で歯の汚れをぬぐいとる”だった。ラバー素材の毛が歯の表面に密着し、汚れがぬぐいとられることで、みがいた後の歯がつるつるしていて気持ちいい。だから、これは歯みがきが楽しくなるハブラシに繋がるのではないか。
「歯みがきといえば子どもの頃に“やらないとダメですよ”などと教えられがちです。けれどもこのハブラシは、歯みがきをイヤイヤな行動ではなく、みがいている実感があるから楽しい、だからポジティブに歯みがきしたいと、そんな前向きな気持ちに変えてくれるアイテムになるはずです」と青木研究員は期待を語る。
「今回の開発で、ラバー素材でヘッド部とブラシ部を一体成形する技術を新たに確立できたので、ハブラシの可能性がさらに広がったと感じています。生活者の口の形から歯の形や生え具合、歯ぐきの状態など、一人ひとり異なる口腔環境に最適化された理想のハブラシを提供することも可能なのではと思います。楽しい歯みがきが、一人ひとりにとってベストな歯みがきにもなる。そんな未来を視野に入れて、これからも研究に取り組みたいと思います」と、今後の抱負を語った。
- 開発リーダー 青木研究員
- 入社以来、国内外向けのオーラルケア製品の開発を担当。
- 開発担当 石川研究員
- 入社以来、国内外向けのオーラルケア製品の開発を担当。