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遺伝子多型研究で、一人ひとりの体質に合わせたヘルスケアの実現へ

遺伝子多型研究について

近年、新たな感染症拡大や健康寿命延伸に向けた取組みなどを通じて、生活者自身の健康に対する意識は高まりを見せていますが、生活者一人ひとりに起こる心と体の不具合やそれに対する解決法には個人差があるため、個人に適した解決法が求められています。そこで当社は、ウェルビーイングな毎日を実現する新たな習慣を提案するため、個人差を生む要因の一つである「遺伝子多型」に着目し、研究を進めています。

ゲノムと遺伝子多型について

生物が子孫を残す際に、親の形質が子供に受け継がれることを遺伝と言い、全ての遺伝情報のことをゲノムとよびます。ゲノムを構成するデオキシリボ核酸(DNA)は、4種類の塩基(A,T,G,C)が鎖上に長く繋がってできており、ヒトのゲノムは約30億の塩基で構成されています(図1)。ほとんどの塩基配列は個人間でも同じ配列ですが、人によって塩基配列が異なる部分もあり、その違いが全人口の中で1%以上の頻度で存在している場合に多型(polymorphism)と呼びます。遺伝子多型には様々な種類があり、塩基配列の内、1か所の塩基が他の塩基に変わっている違いを「一塩基多型(single nucleotide polymorphisms;SNPs)」と言い、SNPsが個人差の決定に影響を与えていることが報告されています※1(図2)。

  • 1:岡田随象 : ゼロから実践する 遺伝統計学セミナー 疾患とゲノムを結びつける, 羊土社, 2020

図1. DNAと塩基配列のイメージ図

図2.SNPsのイメージ図

進化する遺伝子多型解析技術

ゲノム解読技術の進展は著しく、現在では世界中で非常に多くのヒトゲノム配列の解読が進み、遺伝子多型に関する情報も膨大に蓄積されたことで、遺伝子多型に関連する研究も発展を遂げています。ある特定の事象に関連するSNPsを見出す手法として、ゲノムワイド関連解析(Genome-Wide Association Study;GWAS)があります。GWASはヒトゲノム内に存在する数十万~数百万カ所のSNPsを網羅的に解析する手法で、疾病への罹患リスク研究や医薬品開発等に活用されています。当社も、生活者の不具合を予防する手段や最適な解決法に繋がる製品やサービスを開発するため、GWASを活用し生活者の不具合とSNPsの関連性解明に取り組んでいます。まずは、SNPsが食品の機能性への個人差の影響因子になりうるかを検証するため、乳由来タンパク質であるラクトフェリン(LF)に着目して検討しました。

研究事例紹介

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