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印刷物の変わり種-その4-

美人画ポスター

こちらでは3枚の「美人画ポスター」についてご紹介します。
まずは、いわゆる「大正モダンガール」が、ハブラシを手に微笑んでいる2枚のポスターがあります。「大正モダンガール」とは、大正から昭和初期の時代に、西洋の文化を取り入れ、当時の最先端ファッションに身を包んだ女性のことを指し、略して「モガ」と呼ぶこともありました。ボブのヘアスタイルは大正モダンガールの象徴でもあります。このポスターは、1930(昭和5)年秋に制作されました。

美人画ポスター①  美人画ポスター②

昭和初期ごろ、煉ハミガキは粉ハミガキに比べて非常に高価であり、主な売り場は百貨店で高級化粧品として販売されていました。現在の日用雑貨品のポスターからは考えられないような、雰囲気をもったものだと言えます。
残念ながら、当社には現物は保管されていなかったのですが、汐留にあるアドミュージアム東京が保管している広告資料コレクションの中に含まれていることが分かり、ご好意によりレプリカ(複製)を作成して頂きました。

 

ポスター①と②を比べると、デザインが少し異なっていることが分かります。
ポスター①に記載されている商品名は「ライオン歯磨」だけですが、②では「ライオン歯磨」「ライオン歯刷子」と2段書きで記載されています。このポスターは木版で印刷されていたので、2種類の木版があったと言うことになります。また、商品の位置と向き、大きさが違っています。実はこの部分には商品カタログの写真の切り抜きが貼り付けてあるのですが、商品の向きが違っていて少し変化が付けられていることが分かります。

さて、3枚目のポスターについてですが、こちらについては当初その存在すらわかっていませんでした。ところが、ポスター①と②のレプリカ作成をお願いしている過程で、もう一つ異なったデザインの美人画ポスターが見つかったとの連絡が入りました。ポスター①と②と同時代のものと考えられますが、それ以外の情報は当社の記録を調べてみても一切ありませんでした。こちらもポスター①・②と同様に、レプリカを作成して頂きました。

美人画ポスター③

これらのポスターは、時代を超えた新しさを感じることができる、芸術的な作品とも言えるでしょう。
当社に関する史料が、広告に関する博物館で大切に保管されていたことを大変うれしく思います。また「大正モガ」のポスターは、アドミュージアム東京での展示やミュージアムグッズにも採用されていますので、皆さんも立ち寄られてはいかがでしょうか?

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