生命科学技術や計算毒性学の進歩により、培養細胞を用いるなど動物を使わない試験方法(代替法)が開発されつつあります。お客様に安心して製品をお使いいただくことと、動物福祉の向上を目指し、国内企業との代替法共同研究に積極的に参画し、試験法開発とその妥当性検証を進めています。
医薬部外品のオーラルケア製品の開発において、口腔粘膜刺激性評価は必要不可欠な評価項目の1つです。皮膚刺激性評価や眼刺激性評価においては、医薬部外品承認申請に活用可能な代替法が国際公定法化されていますが、口腔粘膜刺激性評価においては、公的に認められた代替法が確立されていません。そこで当社では、花王株式会社、サンスター株式会社と共同で、医薬部外品承認申請に活用できる口腔粘膜刺激性試験代替法の開発に取り組んでいます。
ヒト3次元培養口腔粘膜モデルを用いた試験法で、細胞毒性を指標に、被験物質を曝露した後の細胞生存率から刺激性か無刺激性かを判定します。
代替法の開発は、既存の化学物質評価データ(刺激の有無)を活用し、その妥当性を実証する必要があります。我々は、これまでに蓄積された口腔粘膜刺激性試験結果を基に、ヒト3次元培養口腔粘膜モデルを用いた試験法を開発しました。その妥当性検証の一環として、口腔粘膜と同様の粘膜細胞である眼粘膜刺激性試験結果が既知である化学物質(32種)を開発した試験法で評価し、評価結果の一致性を検証しました。その結果、判定一致率は87.5%と算出され、本試験法によって刺激性の有無を精度高く区分できる可能性を明らかにしました。
本試験法を医薬部外品申請に適用する代替法として設定するため、科学的妥当性の検証を進めてまいります。
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