サステナビリティ重要課題7 労働安全管理体制の充実
目標
労働安全衛生に関する法令遵守及び安全意識の向上が徹底され、従業員及び事業所内で働く外部パートナーが、安全、安心に働けることを目指します。
指標(2030年) |
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指標の進捗 (2023年実績) |
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2030年までの グローバル共通施策 |
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ライオンは労働安全衛生管理体制の強化に取り組んでいます。
「安全は、何事にも優先する」という基本理念を掲げ、厚生労働省の指針に基づく「労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)*」に「防災」を付加した独自の「安全衛生防災マネジメントシステム」の運用を、国内グループ会社すべてで2009年より開始しました。そして、2012年以降、内部監査などによりシステムの実効性を向上させ、2014年からは「安全衛生防災会議」(1992年に「保安環境会議」として発足)の運営を行っています。
このライオン独自の「安全衛生防災マネジメントシステム」のもと、危険性及び有害性の低減、作業環境の維持を継続的に進め、安全・安心な職場環境と体制づくりに取り組んでいます。
* Occupational Safety and Health Management System の頭文字。安全衛生活動を組織的かつ体系的に運用管理するための仕組み。
当社グループで働くすべての人の安全と健康を確保し、快適で働きやすい職場環境を確立するという当社グループの取り組み姿勢を明確にするため、「AL(オールライオン) 安全衛生防災方針」を制定しています。本方針は国内グループ会社の全従業員に適用され、毎年12月に見直しと必要に応じて更新をしています。
当社経営トップ(乘竹 取締役)を議長とした「安全衛生防災会議」が年2回実施され、全社における設備安全、労働安全(労働環境含む)、衛生(健康障害防止、精神的健康保持)、防災(緊急事態対応)の施策を審議し、リスクの徹底的な排除へ向けた取り組みを継続的に推進しています。2018年から、経営直下に「安全防災推進室」を設置し、当社グループの労働安全衛生防災管理体制をさらに強化しました。
各事業所(国内グループ会社を含む)では、労働安全衛生法に基づき組織された「安全衛生防災委員会」が主体となり、本委員会を有効に活用しながら、各事業所内で働くすべての従業員の意見を反映させ、事業所特有の問題を含めた課題解決を図っています。
さらに、海外グループ会社に対しても、国内から安全衛生防災活動の支援を積極的に行っています。
国内グループ生産部門工場に対し、「安全衛生防災会議」議長を監査責任者として、主に安全・防災活動の仕組みが適切であるかの妥当性及び「安全衛生防災マネジメントシステム」が確実に運用され、安全防災水準が向上しているかの有効性について、客観的立場で監査を行う「トップ安全監査」を計画的に実施しています。「トップ安全監査」では、大規模災害の発生を想定した防災訓練を公設消防隊と合同で実施し、有事の際の対応や工場現場の安全活動の確認などを通じて、経営トップからの事故・災害撲滅の指導・助言により、工場の安全性をさらに高め、安全・安心な職場環境づくりに努めています。2023年は、2工場(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)小野工場、ライオンケミカル(株)ファインケミカル事業所)に対してトップ監査を実施しました。
当社は緊急事態の内容を層別し、それぞれに対応するマニュアルを整備して万一の場合に備えていますが、大規模地震をはじめとする各種自然災害の対応においては、災害の規模・被害状況に応じた対応内容・行動基準を詳細に定め、全社合同及び各事業所の防災訓練を実施しています。
一定規模以上の災害が発生または想定される場合には災害対策本部を設置し活動しますが、夜間・休日の災害発生など、災害対策本部員が一同に参集しての活動が困難な場合への備えとして、またコロナ禍を契機に大きく進展した多様な働き方への対応として、リモート型の災害対策本部活動体制を構築し、2020年以降の合同防災訓練及び災害対策本部活動はリモート体制で実施してきました。さらに、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行などに伴う一層の環境変化を踏まえ、災害対策本部員間のより緊密な連携を実現するため、リモート体制をハイブリッド体制(在社の対策本部員は参集し、同時に社外勤務中の対策本部員とリモートで連携)に進化させ、大規模自然災害に備えています。
今後も自然災害の多発化・激甚化及び働き方・就業スタイルの更なる多様化を見据え、災害対応体制の一層のレベルアップを継続的に図り、併せて安否確認訓練や救命講習受講などを通じた、従業員一人ひとりの緊急事態対応の取り組みと、地域貢献につながる防災活動の強化も継続していきます。
2023年当社における異常現象*1は、2022年から増加し3件(漏洩)発生しました。異常現象発生の要因は、いずれも確認ミス(ヒューマンエラー)によるものでした。発生した異常現象に対しては、本社と発災部所にて原因究明と是正対応を図り、さらに全生産部門工場にて類似箇所の調査に基づく改善を実施しています。 また、近年の設備事故の教訓から、これまで実施してきた設備の老朽化点検に加え、新たな設備保守点検基準を設定しました。さらに、オペレーターに対して変更管理*2に対する意識と知識教育などを階層別に行い、設備安全への管理強化を図っています。
今後も、中・長期的な視点で、計画的な人材育成も含めた、設備安全技術力の強化に一層取り組んでいきます。
*1火災、爆発、漏洩など
*2設備面及び運転条件などの変更にともなうリスクを防止するマネジメント活動
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
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0 | 0 | 1 | 1 | 3 |
2023年の労働災害件数(通勤途上災害除く)は28件(内、休業災害5件)となりました。災害要因を分析した結果、災害の型としては、「転倒」と「薬傷」が共に5件と最多となっており、その主要因としては、作業の慣れによる油断(近道行為・ルール逸脱 等)と、不注意(不安全行動 など)であると考えます。労働災害に対しては、発災部所が原因究明と再発防止対策を行い、本社「安全防災推進室」が是正対応の徹底と全社への周知を図っています。
労働災害発生防止のためには、安全管理体制及び労働安全意識の強化が重要です。当社は、「全社社内e-ラーニング」を活用した安全意識教育や従来の危険体感機を用いた教育と併せて、デジタル技術を用いた「VR危険体感教育」などの危険感度向上教育を実施しています。
また、中央労働災害防止協会教育ゼロ災推進部担当講師の指導で、全生産部門工場のベテラン社員を対象とした「外部安全講話」を開催し、安全文化の強化を図っています。
対象者 | 受講率 |
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4,373名 | 96.2% |
平井研究所 | 小田原研究所 | 合計 |
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138名 | 54名 | 192名 |
外部安全講話参加人数 |
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525名 |
労働災害発生件数*1
*1通勤災害を除く
生産部門の労働災害強度率*4
*4強度率:労働損失日数 / のべ実労働時間(千時間)
研究部門 | 生産部門 | ||||
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平井 | 小田原 | 千葉 | 小田原 | 大阪 | 明石 |
659 | 4,679 | 185 | 2,554 | 1,394 | 3,365 |
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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従業員(ライオン本体) | 0名 | 0名 | 0名 | 0名*3 | 0名*3 |
従業員(国内グループ会社) | 0名 | 0名 | 0名 | 0名*3 | 0名*3 |
*5派遣社員、パート社員含む
*3第三者保証を受けています。
2023年はライオン本体から、「PT. Lion Wings(インドネシア)」を訪問し、安全のリスク抽出方法や不安全箇所の改善について、直接指導を行いました。また、「Lion Corporation (Thailand) Ltd.(タイ)」に対して、厚生労働省助成対象事業である『アジア安全衛生SAKURAプロジェクト』の制度を活用し外部機関からの安全指導にて、現地従業員の安全意識の高揚と労働災害の防止を支援しました。他の海外グループ会社については、リモート会議や社内メールを通じて、適時助言・指導を実施しています。今後も各社の状況に応じた指導、支援を継続的に行い、当社グループでの安全・衛生・防災体制の強化に努めていきます。
また海外各社でも、コロナ感染予防対策として、衛生面(検温・手洗いや消毒・マスク着用)での強化を継続しており、労働安全面との相乗効果につなげています。