ラクトフェリンは、主に哺乳類の乳中に存在する分子量約8万の糖タンパク質です。ヒトの場合は母乳中に1~3 ㎎/ml、初乳では5~7㎎/mlとさらに高濃度に含まれています。分子中に鉄分を含むため薄ピンク色であることから、赤いタンパク質とも呼ばれます。
ライオンでは新しい機能性食品成分としてのラクトフェリン研究に着手しました。
ラクトフェリンは、主に哺乳類の乳中に存在する分子量約8万の糖タンパク質です。ヒトの場合は母乳中に1~3 ㎎/ml、初乳では5~7㎎/mlとさらに高濃度に含まれています。分子中に鉄分を含むため薄ピンク色であることから、赤いタンパク質とも呼ばれます。
ライオンでは新しい機能性食品成分としてのラクトフェリン研究に着手しました。
ラクトフェリンを腸溶加工したタブレットを、年齢30~62歳で、BMI※125以上の成人男女30名に2ヵ月間摂取させたところ、腹部内臓脂肪面積が平均12.8cm2減少し、腹囲は3.4cm、体重は2.5kgそれぞれ減少しました。ラクトフェリンは、内臓脂肪を低減させる効果を示すことが明らかになったのです。
では、どのような働きで内臓脂肪を減らしているのでしょうか。
※1:BMI(Body Mass Index)=体重と身長の関係から算出される、ヒトの肥満度を表す体格指数。体重を身長(m)の二乗で割った値
内臓脂肪は常に脂肪の合成と分解を繰り返しています。脂肪細胞は、体内に過剰にグルコースや遊離脂肪酸が存在すると、これらの物質から脂肪を合成して、脂肪滴の形で蓄えています。
逆に体にエネルギーが必要になると、この脂肪が分解されて、遊離脂肪酸とグリセリンという物質に変換され、エネルギーとして体内に供給されるのです。
内臓脂肪の量は、脂肪の合成量と分解量のバランスで決定されます。合成量が分解量を上回れば、内臓脂肪の量は増加しますし、逆に分解量が合成量を上回れば、その量は減少します。
ラクトフェリンは、この脂肪合成(A)を抑制し、脂肪分解(B)を促進するという2つの作用によって内臓脂肪を低減している可能性があることがわかってきました。
(A)の脂肪合成のプロセスに関する研究では、脂肪細胞を取り出し培養実験を行いました。通常は、培養によって脂肪細胞がどんどん脂肪滴を合成しますが、そこにラクトフェリンを添加すると、脂肪滴の合成はほとんど見られませんでした。この結果は、最新の遺伝子解析(ニュートリゲノミクス)※1によって、脂肪滴の合成反応を促進する遺伝子をラクトフェリンが抑制していることに起因することが明らかとなりました。
(B)の脂肪分解のプロセスに関する研究では、脂肪をたくさん蓄えた脂肪細胞にラクトフェリンを添加する実験を行いました。その結果、細胞外へ流出してくるグリセリン(脂肪が分解すると生じる)量が増加したことから、ラクトフェリンが脂肪の分解を促進することがわかりました。そのメカニズムについても検討を行った結果、脂肪分解に重要な成分であるcAMPの濃度を上昇させ、脂肪滴を覆って分解を防いでいるペリリピン量※2を減少させるという、2つの作用により脂肪分解を促進していることを明らかにしました。
※1 ニュートリゲノミクス解析:ニュートリション(栄養)とゲノミクス(遺伝子の網羅的解析)からなる造語。マトリックス状に並べた遺伝子チップに、特定物質を作用させ、その変化をデータベースと照合することで、遺伝子発現への影響を解析する手法。
※2 脂肪の周囲に存在するタンパク質で、リパーゼの作用から脂肪を保護する役割を持つ。
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