ライオンでは2004年から、大日本印刷株式会社と共同で、視覚障がい者の方にも役立つ、触図入りユニバーサルデザイン健康読本「さわってわかる歯みがきの本」の発行をはじめました。
この冊子は、2004年の日本歯科新聞主催の「第4回広報コンクール」において、紙媒体部門優秀賞をいただきました。
「さわってわかる歯みがきの本」は、全国の点字図書館をはじめ、盲学校、リハビリテーション施設などに寄贈しているほか、公益財団法人ライオン歯科衛生研究所が実施する「視覚障がい者の方を対象にした歯のお手入れ講習会」で活用してまいりました。
「触図」とは、視覚障がい者の方が触って絵や図が理解できるように、凹凸で立体的に表現したものです。盲学校など教育現場においては従来から理科の実験 説明図や、社会科の地図などに「触図」が広く活用されていますが、生活に役立つ健康情報などでは「触図」は、あまり利用されていませんでした。
そこで、毎日の歯のお手入れに便利な健康情報に「点字」と「触図」を盛り込んでまとめたユニバーサルデザイン健康読本「さわってわかる歯みがきの本」を発行することにしました。
また、「点字」の習得率は視覚障がい者の方の1割程度(平成18年 厚生労働省身体障害児・者実態調査)であり、点字を習得していない方には「触図」だけでは内容を伝える事が困難でした。そこで2016年3月発行の「歯周病編」には、点字を使わず文字情報を合成音声に変換して読み上げる音声コード(Uni-Voice*)を採用しました。各ページには音声コードを掲載しており、携帯電話等でコードを読み取ることで、本の内容を音声で聞くことができます。内容は、公益財団法人ライオン歯科衛生研究所が監修をしています。
*JAVIS(日本視覚障がい情報普及支援協会)が開発した、漢字を含む文字データを約800文字記録できる携帯電話対応2次元バーコードです。読み取った内容は音声で読み上げられます。読み取りには専用アプリ(無料)が必要です。
背景や文字にはコントラストを強調した色を使い、本文には弱視や高齢者の方にも読みやすい「大活字」を採用しています。同様の内容を「点字」でも表現し、さらに内容をわかりやすく伝えるために触ってわかる「触図」を盛り込んでいます。点字と触図の印刷には、インクを立体に盛り上げる特殊技術を活用したシルクスクリーン印刷を行なっています。インクには紫外線で硬化する透明樹脂を使用しているため、通常の印刷文字に影響を与えません。
本文10ページから16ページのB5変形版で、製本には金具を使用せず、紙を折り込んだ「折り製本」を採用し、触って読む際の手指にも配慮しています。
なお、最近はパソコンの画面読み上げソフトなどの普及もあり、「さわってわかる歯みがきの本」も一定の役割を終えたと判断し、2023年で配布終了いたしました。
今後は引き続き、ホームページの「製品情報」「製品Q&A」や、生活情報メディア「Lidea」などを通じて、WEBアクセシビリティを高め、視覚障がい者の方々にもわかりやすい情報提供を目指してまいります。
<ウェブアクセシビリティ方針>