私は現在、全国約2,700店舗を構えるドラッグストア本部の営業を担当しています。営業としての大きな仕事は、店舗の売場の中でライオン製品がどれくらいのスペースを取らせていただけるかを商談で決定する「棚割」の提案、マーケティング施策の展開スケジュールを基に販売促進やチラシを組むといった内容です。商談先は主に本部の商品部の方々ですが、北は青森から南は沖縄まで、各地の傘下の事業会社を回って現場の売上アップに貢献することも私のミッションです。
このように言うと「とにかく自社製品を売り込んでいく仕事」に思えるかもしれませんが、実際の現場では競合製品も含めた売り場構成を考え、得意先全体の売上・利益を伸ばすことを目指しています。多岐にわたる競合製品が存在する日用品の領域で、自社製品をゴリ押しするだけでは得意先の利益につながりません。まさに、「得意先と一緒に商売をする感覚」なのですが、これは私に限った感覚ではなく、ライオンの営業社員全体に浸透している感覚だと感じています。
営業の仕事は、生活者の存在を意識するところから始まります。得意先と協力して魅力的な売り場を作っていくためには、生活者が何を感じ、どのような理由でその商品を手に取るのかをイメージする必要があります。
ライオンではマーケティング部門や開発部門が膨大な市場データを持っていますが、それだけでは気づけないこともあります。自分の担当カテゴリーに限らず、時には食品や化粧品なども含めて、現場でどのようなものがどのくらい売れているのかを得意先から教えていただくことも大切であり、身近な家族や友人との会話の中でヒントをもらうことも大切です。
私は、そうして収集した情報を基にして、「まずは提案してやってみる」ことを重視しています。結果につながるかどうかはやってみなければ分かりません。若手のうちは勇気がいるかもしれませんが、ライオンにはチャレンジした結果としての失敗を責める人は決していません。もしうまくいかなくても、挽回のチャンスはたくさんあります。大切なのは失敗を恐れず、試行錯誤を繰り返していくことだと信じています。
ライオンの営業の役割はまだまだあります。昨今は、得意先と協業し、当社がパーパスとして掲げる「より良い習慣づくり」の価値や魅力を生活者に発信していく活動にも力を入れています。「売る」という従来の営業の枠を超えた、「コンサルティング」に近い仕事だと言えるかもしれません。
その一例として、得意先従業員の方々への教育活動が挙げられます。EC市場の売り上げが伸びている昨今、リアル店舗では、これまで以上に高い専門性を持って生活者へ提案していくことが求められています。そこにライオンとして貢献できることを考えた結果、「オーラルケア製品を中心とした従業員研修」を任せていただくことになりました。
また、私たちが生活者と直接的な接点を持って、講義や相談会を開催することもあります。年齢に合わせて、どのような製品を使うべきかなどをパーソナライズして解説するのです。こうした講義や相談会を開催した後、店舗のライオン製品の在庫が一気になくなったこともありました。一つひとつの取り組みは地道かもしれませんが、得意先や生活者への貢献、そして私たちが目指す結果へと着実につながっていることを実感できた経験でした。
私は入社以来ずっと営業一筋で歩んできました。そのおかげで、人との関係性を築く力や折衝力、課題解決能力など、どんな仕事にも活かせるスキルを身につけることができたと自負しています。職務経歴書に書けるような分かりやすい資格こそありませんが、自分自身の市場価値は間違いなく高まったと感じています。ぜひ、営業という仕事を一度は経験してみてほしいと思います。
たくさんの人と関わる営業だからこそ、仕事を効率的に効果的に進めるための工夫も凝らしています。たとえば、得意先へ提案する際の企画書は、分厚ければいいというものではありません。「本当に得意先が求めている情報とは何か」を、シンプルな視点で考えることの方がずっと大切だと感じています。このような「芯を食ったノウハウ」は、実は社内にたくさん蓄積されています。
ライオンには、私たち中堅の営業社員と若手社員が接する機会も数多くあり、情報共有の仕組みも十分に整っています。これから新たにライオンの営業に携わる人には、私たちよりも速く成長し、たくさんの知見を手に入れてもらえたらと考えています。若手営業社員の活躍の支援も今後の私の一つのテーマとして掲げながら、日々の仕事に邁進していきたいです。