2013年に入社した私は、初めは営業職としての配属となり、 総合スーパーの営業を担当していました。その後、東北、関東甲信越のドラッグストアやスーパーの営業担当を経て、今は薬品事業を担う部門のマーケターとしてブランドの育成に従事しています。
マーケティングに関心を持つきっかけとなったのは、営業部時代に青森で行った『トップ スーパーNANOX』のトライアルキャンペーンです。その時に初めて事業部と連携したキャンペーンに関わり、マーケティングという仕事の面白さと深みに触れました。これを境に、「自分もいつかマーケティングに携わりたい」「今の枠を飛び越えて、もっと成長を重ねたい」という想いが膨らんでいき、社内制度である「マーケティング学習プログラム」に応募を決めました。
このプログラムでは、マーケティングの基礎知識を学ぶ講義形式の座学だけではなく、グループワークやディスカッションが頻繁に行われました。企業が本質的に直面する課題をもとにしたケーススタディに対して、常に考えを巡らせ続ける必要のある内容でしたが、この経験が今の仕事に大きく活かされていることを強く実感しています。
現在は、目薬の『スマイル』ブランドの育成、マーケティングプランの立案・実行を担当しています。具体的には、「営業が販売店に商談しやすくなり、販売店も生活者に商品を提供しやすくなる」ための販促ツールやキャンペーン、広告の戦略を立案・実行しています。
キャンペーンも広告も、単純に沢山打ち出せばよいというわけではありません。一番の目的は、商品を手にしたお客様の「生活の向上に寄与すること」であり、そのために何ができるかを考え続ける事が肝要だと感じます。「この製品を欲しい人はどのような生活者で、どのようなメッセージをどのように伝えれば購入に繋がるのか」を、仮説を立て具体策を立案し、施策ごとに検証しながら都度修正を加え、戦略を練っていきます。
例えば、私は以前、ある人気アニメキャラクターとコラボレーションするキャンペーンを提案したのですが、その際上司から、「そのキャラクターで本当にターゲット層に刺さるのか?」と指摘を受けました。そこで、もう一度購買データを入念に分析したうえでターゲットを見つめ直した結果、企画を別のキャラクターとのコラボへ変更する方が最適だという結論に至りました。ついに企画が通り、いざ市場に投入してみると、見事にターゲット層に刺さったため売上シェアが大きくアップしたのです。
このように、企画がすんなり通る事ばかりではなく、苦労は絶えません。しかしその分、自分で考えた戦略で商品をお客様に手に取っていただけた――そんな光景を販売店で目にする瞬間には、今でも胸が熱くなります。
スマートフォンやパソコンを使用していると、瞬きをする回数が減って、目が乾きやすくなります。この状態を放置していると、目をこすってしまうことでも角膜に傷がつき、目の疲れやかすみ、充血等の不快症状の原因となります。実際、目の疲れやかすみを訴えはじめるのは、目の曲がり角といわれる40代前後からですが、調査によると、目薬使用率は未だ約40%程度です。
「なぜ目薬の使用率が上がらないのか。」それは、症状の原因や角膜の大切さ、そして目薬の効能が、広く正しく知られていないことにあります。そこで私たちは、生活者に「人生100年時代において、瞳を健康に保とう」という意識を高めてもらえるよう、製品を通じて啓発しています。
例えば、「製品が目の疲れやかすみを改善する効果がある事」や、「角膜をケアすることが瞳の健康のためにいかに大切か」を生活者に知ってもらうために、ある有名キャラクターの全編描き起こしオリジナル漫画を作成し、ストーリー仕立てにして啓発するといった企画を実施した事があります。この企画は、特設サイトやSNSで広くキャンペーンを展開した事で大きな反響を呼び、見事、瞳の健康への意識の上昇と商品認知度の向上につながりました。
このような仕事こそ、マーケターとしてできる「より良い習慣づくり」だと感じています。
5年後、10年後には、「人々のより良い習慣づくり」をさらに広げていきたいと思っています。角膜の傷のように、普段生活者が気づいていないこと、もしくはあまり気にしていないことは、まだまだたくさんあります。そういったところにもっと考えを巡らせ、生活者の声に耳を傾け、潜在化している不満や悩みを掘り起こして顕在化していくことが、私たちマーケターの使命だと考えています。
また、ブランディングという観点では、まだまだのびしろがあると感じています。というのも、「ライオン」という社名も、『スマイル』という商品名も多くの人に知られてはいますが、「スマイルがライオンの商品だ」という事実は、まだまだ紐づいていないと感じているからです。
社名とブランド名がもっと紐づいていけば、今以上に大きな作用が生み出せるはずです。 ブランディングをさらに強化する事で、「人々のより良い健康習慣づくり」も、もっと早く、もっと多くの場面で実現させていきたいです。