大学院までは化学を専攻し、基礎研究に没頭していたのですが、基礎研究の奥深さとは裏腹に、成果の見えづらさにもどかしさを感じることもありました。将来は自身の研究成果がわかりやすい形で目に見える仕事に就きたいという想いを抱くようになり、誰の暮らしにも身近な日用品を扱うライオンへ入社しました。入社後は、柔軟仕上げ剤の製品開発の担当となりました。様々な関連部門と連携しながら仕事を進める中で、商品が完成しお客様の手元に届くまでに、想像以上に多くの人が関わっていることを学びました。
そんな私のキャリアの転機は、入社7年目、当社が実施している「マーケティング学習プログラム」に参加した事でした。プログラムを通じてマーケティングへの興味が深まり、参加を縁として商品企画やブランド育成などを行う事業部へ異動となりました。
現在所属している事業部には、営業職出身や研究職出身など、多様なバックボーンや得意分野を持つ社員が活躍しています。そのような中での私の強みは「科学的な知見をもとに商品企画に携わる身として、ライオンの研究開発力を、お客様の生活に合った提案に結び付けられること」だと思っています。一見小難しく見えてしまう専門的な技術を、商品を通じてどうお客様の暮らしに寄り添った形で魅力的に伝えるか、研究出身の商品企画者だからこそできる「翻訳者」でありたいと考えながら、日々の仕事に邁進しています。
現在私は柔軟仕上げ剤の商品企画担当として、ブランド戦略策定や商品開発、CMをはじめとするコミュニケーション開発など多岐にわたる仕事に携わっています。こうした仕事をしながら、絶対に失ってはいけないと捉え、常に意識しているのが「企画者であっても、いち生活者であること」です。
私自身、結婚・出産を経てライフスタイルが大きく変わったことに伴い、日常生活を送る中で重視するものや根本的な価値観が大きく変わっていくことを実感しました。独身時代は自分のことだけを考えて生活していたような気がしますが、結婚後、特に子どもが生まれてからは、家族が自分よりも優先順位が高い存在になっていったからです。このようなライフステージの変化により気づけた「新たな生活者視点」は数多くあります。
洗濯一つをとっても、家の中での洗濯物の量が倍以上になるだけで、洗濯にまつわる困りごとは変わっていきました。そして、「誰しもが日々やらなければいけない洗濯という義務」に対して、より生活者に近い視点でリアルに考えられるようになったと感じています。
ライオンは、お客様の生活にまつわる幅広い分野を長年見つめ続けている会社であるため、お客様の“日常”に寄り添う喜びを日々感じながら働くことができます。毎日繰り返される何気ない日常の中で使ってもらえる、そんな商品やサービスに携われる事は、私にとって大きな幸せです。特に、洗濯のように、日々「やらなければいけない」と義務的に感じてしまいがちな行動を、少しでも前向きなものに変えるお手伝いができることは、非常に魅力的な仕事だと感じています。
一つの商品にずっと向き合っていると、つい視野が狭くなってしまうことがあるのですが、最終的にはお客様の生活に寄り添った提案をすること、そのためには担当商品に留まらず、常に視野を広く持って、これまでの“当たり前”にとらわれずに思考し続けることを心がけています。
また、マーケティングの仕事は、日頃張っているアンテナで感覚的に感じ取る右脳的な部分と、その感覚を論理的に組み立てていく左脳的な部分とのバランスがとても大事だと思っています。そのバランスを意識しながら、決して一人でではなく、周囲ともオープンに会話を繰り返しながらアイデアをブラッシュアップするようにしています。時に周囲と意見がすれ違い、悩むこともありますが、「意見が違うこと」は商品をより良くする、ひいてはお客様の生活をより良くするために必要なステップだと前向きに捉えています。今後も、お客様の生活を広い視野を持って見つめることを大切に、仕事に向き合っていける自分でありたいと思います。
ライオンには、それぞれのアイデアを常日頃からぶつけ合う風土があります。「お客様の毎日をより良いものに」という視点さえあれば、誰が何を言っても真っ向から否定されることはないと感じています。130年以上の歴史がある会社ですが、年次や部門を飛び越えてどんな時もオープンに議論する事ができているのは幸せなことだと痛感します。
こうした風土や人の魅力は、私がライオンへの入社を決めた理由の1つでもあります。
また、私が妊娠中につわりや体調不良があった際には、周囲の方たちが温かくサポートをしてくれました。育児休業からの復帰後も、チーム全体が連携してサポートをしてくれる空気をもらえたため、安心して仕事をすることができました。今現在、私はリモートワークやフルフレックス制度を活用し、育児をしながら仕事にも熱中することが出来ています。これからも、「家族も仕事も、どちらも全力で大切にしたい」という自分の理想のキャリアをライオンで追求していきたいと思っています。