私は薬学部の出身で、就職の時点で薬剤師免許を持っていました。薬学部を卒業すると、多くの人は薬局、病院を就職先として選びます。しかし、私は薬剤師免許を持ちながら、より自分が成長できる道を選びたいと考えていました。だから、LIONを選びました。理由は明快で「唯一、医薬品を持つヘルスケア企業だから」です。
入社してからのおよそ7年間、医薬品の生産も行う工場で製造と品質保証という仕事に従事していました。医薬品は、薬剤師が必ず1人以上、製造管理者として管理をしなければならず、これは薬機法で定められておりますが、日本の薬剤師の中で製造管理者の仕事を実際に担っている人、あるいは担ったことがある人はほんの一握りです。
多くの薬剤師が製造管理者を知ってはいるけれどやったことがないという中で、実際の製造管理者とはどのような仕事で、どのような困難、そして、やりがいをあるのか、身を持って知ったことは、自分の薬剤師としての経験の中で誇れる部分になっています。
工場での日々は、さまざまな学びと気づきを与えてくれました。特に、現在の私自身のベースとも言えるのが、最初に配属された「デントヘルス」という医薬品ハミガキ粉の生産現場。歯みがきが得意な会社のハミガキ粉で、かつ医薬品でもあるため、最も LIONらしい商品といまでも私は思っています。
生産の現場はやるべきことは、正しく原材料を計り、時間内に混ぜ合わせ、1日に必要な量を作ることで成果がシビアに測られます。はじめは決められたことを全うするだけで精一杯で、時にはミスすることもありました。そこで私はひとつでもミスを減らすために、あらゆる注意点を絵で覚えるように工夫しました。とにかく忘れないために絵で頭に叩き込んだのです。また、生産量が決められている中でも実践できる改善として、原材料のロスを減らし、効率を上げることにも取り組みました。生産工程では必ずロスが出ます。その量をわずかでも少なくすると同時に、従来はロスだったものから高品質な製品を生み出せるように試行錯誤を繰り返しました。
どんな仕事の中にも改善の余地はあって、その中でできうる工夫を見つけ、業務全体をより良い方向に導いていく。工場での経験は、私に自分のカラーを出す面白さを教えてくれました。
工場での経験を経て、現在は生産管理部で「スマイル」のブランド名で展開している点眼剤などの生産管理および生産導入を担当しています。生産管理とは、製品が円滑に生産されて届けられるための管理です。たとえば、製品の原料が変わる場合、どのような点に注意が必要かを周知したり、いまある原料から変更するスケジュールの管理などを行います。
一方、生産導入の仕事は、全く新しい製品を製造を始めるにあたって関連部所と協力し、原料を決めたり、包装の仕様を決めたり、さらには製造する工場まで幅広い業務を担います。それら一切合切を検討、判断し、製造を開始する日にはすべてが整っている状態を作り上げていきます。
それまでとの違いは、複数の工場の要望を聞いたり、原料部、材料部、プロセス技術研究所、包装技術研究所など社内の専門部署と連携して包括的に管轄する点です。相手は一人ひとりが部署の役割を背負ったエキスパートですので、工場勤務とは異なる調整の難しさや時間管理の難しさがあります。しかし、私にとって難しさとやりがいは表裏一体です。いままた自分だからできることは何かを考えつつ、日々葛藤しながら仕事と向き合っているところです。
生産の仕事と「未来のより良い習慣づくり」は、一見、結びつきにくいと思われるかもしれません。しかし、私は生産こそ、お客さまとその未来に直結していると考えています。製品のクオリティは、製品の効果、ひいては生活のクオリティを左右します。その先で、いつかLIONのクオリティが世界の人々の毎日に貢献する未来を、私は夢見ているのです。
LIONには、国内でしか展開していない製品がたくさんあります。多くは世界の人々に使って頂いても、きっと十分に役立てると確信しています。生産上の課題も存在しますが、オールライオンで最高のゴールを皆で目指せば、達成することができるはずです。いつ、その時が来てもいいクオリティと、いざ、海外に展開する際に課題があるなら、すぐに解決策を見いだせる準備しておきたいと思っています。
そのためにも、今は目の前の仕事、目の前の製品です。唯一、医薬品をもつヘルスケア企業であるLIONは、裏を返せば、医薬品以外のヘルスケア製品を医薬品に準拠した生産管理レベルでお届けできる企業でもあります。LIONならではの強みを世界や未来のより良い習慣づくりへと繋げていくために、さらに上の品質を追い求め続けていきます。