大学院で化学工学を専攻していた私は、2018年にライオンに入社しました。就職活動時から志望していたのが、自分の関わったものが目に見えてわかるような、「生活に身近な製品を作っている会社」でした。食品系やサニタリー系の企業もいくつか受けましたが、その中でも面接や工場見学を通じて、「素の自分が発揮できる」「ここで挑戦してみたい」と思えたのがライオンでした。
現在は、『キレイキレイ』などのハンドソープや『クリニカ』などのハミガキの生産拠点となるライオンケミカル株式会社オレオケミカル事業所(坂出)で勤務しており、生産技術課の製造部門で、製品導入や稼働安定化に向けた制御・設備改善の仕事を行っています。
生産部門が「製品を切らさないために安定的に生産をする役割」であるのに対し、生産技術部門は「工場がきちんと稼働するように、設備などの環境を整えてフォローする役割」を担っています。例えば、手動で対応していたことを自動化できるよう設備を追加したり、壊れやすい装置を安定して動かせるよう改良したりを日々行っています。特に坂出工場は「高い生産能力」が特徴です。この特徴を最大限活かせるように、機械を止めることなく常に安定生産できるよう努力しています。「売れている製品は坂出工場で大量生産すれば安心」と思ってもらえるような状態を維持していきたいです。
ライオンで働いていて喜びを感じることは、やはり、家族や友人から「ライオンのあの商品、使っているよ!」と言ってもらえることです。スーパーやドラッグストアでライオン商品を手にとっている人を見ると、嬉しくなります。
また、現在ハミガキ製造部門の技術担当として携わっているからか、世の中のハミガキにとても興味があります。店頭にはたくさんの種類のハミガキがあり、モノによっては珍しい成分を入れている商品もあります。ライオンで働き始めてから、そういった商品の組成に目が行くようになり、他社の商品の成分表を見ては「この成分はどんな役割をしているのだろう?」「どのようにして混ぜているのだろう?」などと延々と繰り返し見てまわり、気が付くと2~3時間経ってしまっていることもあります。そんな時間の中で「やっぱりライオンの商品良いな」と思うことも多々あり、自社に誇りを持ちながら仕事が出来ているのだなと改めて感じます。
私が今の職場に赴任したのは2021年。新しいハミガキ工場立ち上げのために、ハミガキ製造設備が問題なく稼働するようにセッティングする、というところからメンバーに加わりました。
当時私は入社4年目でしたが、新設備の導入業務には携わったことがなく、「入ってきた機械は問題なく動くもの」と勝手に思っていました。
しかし、空っぽの空間に新しい機械を設置し、いざ動かしてみるとどうにも思い通りに動かない。調べてみると、「電気配線がうまく繋がっていない」という初歩的な問題から、「タンクに水を貯めて混ぜてみたら溢れてしまうため、品質をキープすることができない」といった大きな問題まで数多く発生しました。それまで小田原工場で当たり前に思っていたことが実は当たり前ではなく、多くの人々の努力の賜物だったことを痛感し、驚きと自身の認識の甘さに愕然としました。
データを取っては改善し、動かしてエラーが出たら、再びデータを取って改善…それを何度も何度も繰り返すことで、ようやく問題の原因を追えるようになりました。これらのデータは今後の生産にも役立つデータです。これらをAIで解析し今後起こりうるトラブルを想定したり、問題が起こった場合の解決策を早急に見つけたりすることに役立ちます。
逆にエラーを残したまま製造すると、結局はお客さまにご迷惑をかけることになります。ライオンのパーパスである『より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する』に反することになるため、一切の妥協はせず仕事に邁進していました。
想像以上にトラブル続きで、日々準備に追われていましたが、2021年7月、ついに新工場の稼働が開始。機械からはじめてハミガキの練りが出てきた時の喜びは何にも代えがたいものでした。また、目標の生産量をつくり上げた時は「ようやくできた!」と大変感動しました。あの達成感は、きっといつまでも忘れることがないと思います。
私の仕事は「工場がきちんと稼働するように、設備などの環境を整えてフォローする仕事」です。そして、工場の使命は「安定して優良製品を供給し続けること」です。そのために必要なこと、大事にしなければならないこと、それは様々な部門とのコミュニケーションだと思います。「コミュニケーションを大切にすること」は私の仕事の信念でもあります。
仕事をする上で自分だけの知識では不十分であることを実感します。これを補うには、知見のある先輩や専門家に話を聞いて勉強することが必要となります。また、研究所とのサンプルのやり取りをはじめ、スケールアップでの規模感の確認、生産計画、原材料の調達、予算、要員、在庫の管理等多くの仕事を通じて関わる人がたくさんいることを実感します。そういった方々がいてはじめて、自分一人では到底できない大きな仕事が形になるのだと思っています。
今はまだハミガキの分野にしか携わったことがありませんが、今後自分がどの分野に携わっていくことになっても、コミュニケーションは大事にしていきたいと思っています。また、私自身も今以上に力を発揮できるようになるため、吸収できる知識は貪欲に求めることを心がけていきたいです。それが、回りまわってお客様の『より良い習慣づくり』に繋がると信じています。