ライオン株式会社(代表取締役兼社長執行役員:竹森 征之)は、高度なプラスチック資源循環型社会の実現に向け、リサイクル性を向上させたつめかえパックを初めて採用した『ルックプラス バスタブクレンジング クリアシトラスの香り つめかえ用大サイズ』を数量限定で11月より発売します。
日用品で用いられるつめかえパックの多くは、複合素材よりなることから、容器としてリサイクルすることが困難でした。この度、artienceグループの東洋インキ株式会社(代表取締役社長:安田 秀樹)と共同で、洗剤などの日用品の包装容器にも利用できる「剥離リサイクル技術」を開発しました。複合素材を分離し、高純度な単一素材としての回収が可能になることで、プラスチックリサイクルの促進が期待できます。
■当社の環境対応に向けた取り組み
当社グループは、「サステナブルな地球環境のための取り組み推進」を重要課題と位置づけています。2019年には「LION Eco Challenge 2050※1」を策定し、製品・容器包装へのプラスチック使用量を削減すること及び、使用したプラスチックを回収し、再利用することを目指しています。
現在、つめかえ製品は製品全体の出荷量の約8割※2を占めるほど普及しており、年間約35万トンものプラスチック使用量の削減に貢献しています。しかしながら、つめかえ製品の主な包装形態であるつめかえパックの多くは、複数の素材のプラスチックフィルムが貼り合わされてできていることから、容器としてリサイクルすることが難しく、その多くがごみとして廃棄されていることが問題となっています。
そこで当社は、東洋インキ株式会社と共同で、洗剤などのつめかえパックのリサイクル性を向上する「剥離リサイクル技術」の確立に取り組みました。
※1 長期環境目標「LION Eco Challenge 2050」
※2 日本石鹸洗剤工業会 「石鹸洗剤業界における容器包装プラスチック使用量の推移」重量ベース
■「剥離リサイクル技術」について
つめかえパックを含む「軟包装」と呼ばれるフィルムパッケージは、用途ごとに異なる要求性能を確保するために、ポリオレフィンやポリエステルなどのフィルムの間に、印刷インキと接着剤といった多素材を用いる複層構成(積層フィルム)になっています。これが、質の高いリサイクルを阻害する要因の1つとなっていました。そこで、東洋インキ株式会社では、複数の素材のフィルム同士を剥離し、印刷用インキをプラスチックから取り除くことにより高純度な単一材質として素材を回収する「剥離リサイクル技術」を開発しています。
この技術では、水中でのアルカリ処理により接着剤層が溶解し、ナイロンやPETからなる表フィルム層とポリエチレンからなるフィルムが剥離します。剥離後に、比重の大きい表フィルム層は沈み、比重の小さいポリエチレンフィルムは浮いてくることによって、高純度なポリエチレンフィルムを回収することが可能です(図1)。
当社は、この技術をもとに東洋インキ株式会社とともに改良を重ね、洗剤などの内容物の品質や物理的な強度を担保しながら、リサイクルが容易にできるつめかえパックの製品化に至りました。
■今後の展望
・本技術を採用したつめかえパックがリサイクルできることの実証
つめかえパック製造時に発生した端材など、製品として使用されなかった積層フィルムを回収し、再びつめかえパックのフィルムとして活用することを目指します。25年中の製品上市を目標に、検討を推進しています(図2)。
・業界を越えて利用できる包装容器設計ガイドラインの策定
つめかえパックリサイクルの社会実装に向けては、業界の垣根を越えて、社会全体で取り組む必要があります。本技術をつめかえパックの標準的な技術とし、広く利用できるよう、リサイクルしやすい包装容器の設計ガイドラインの策定に取り組みます。日用品業界だけでなく他業界も含めて共同で検討いただける団体を募り、検討する予定です。
・つめかえパックの分別システムの確立
本つめかえパックと既存のつめかえパックを選別できるシステムの確立を進めます。
当社は、高度な資源循環型社会の実現に向けて、リサイクルに対する生活者の理解・協力を得るための啓発活動や、次世代教育などの社会貢献活動にも取り組んでまいります。
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