サステナビリティ重要課題6 従業員の健康増進
目標
従業員の心と身体のヘルスケアを支えることで、人材力の強化につなげ、持続可能な企業成長を目指します。
指標(2030年) |
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指標の進捗 (2023年実績) |
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2030年までの グローバル共通施策 |
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2019年から推進している健康経営「ライオン流働きがい改革」において、従業員の健康は、その基盤となります。従業員の健康意識が高く、健全な健康習慣を自発的に身につけようとする行動は、健康の維持・増進とともに働きがいに満ち溢れた企業人としての自己成長・人生の充実につながります。そして、それは企業の生産性と創造性の向上につながり、持続的な成長を通じて社会全体に貢献できるとライオンは考えています。
当社では、従業員の健康は「会社の健全な成長を支える経営基盤である」との考えを基本とし、経営ビジョン「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」に向かい、一人ひとりの「心と身体のヘルスケア」を実現するために、「健康指針」を柱に、会社・従業員・健康保険組合が一体となり、生活習慣改善、お口の健康、メンタルヘルス対策、がん予防、禁煙支援等健康行動習慣化へのサポートがなされています。
当社は、健康経営で解決したい経営課題に対し、目標指標は「働きがいの向上」、「アブセンティーズム*1の低減」、「プレゼンティーズム*2の低減」を設定しています。2020年の現状を踏まえ、2030年までに「働きがいの向上」はワークエンゲイジメント*3を2.7から3.0へ、「アブセンティーズム」は休業率を0.8%から0.7%未満へ、「プレゼンティーズム」はパフォーマンス発揮度を74.5%から85.0%以上へ、課題解決に向けた目標値を設定しました。
*1 アブセンティーズム:病欠、病気休業している状態。休業率=休業日数/総労働日数
*2 プレゼンティーズム:何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し業務遂行能力や労働生産性が低下している状態。SPQ(東大1項目版)を用いて測定
*3 ワークエンゲイジメント:ストレスチェックを用いて測定(4段階の設問2問の平均点)
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基本的に「健康投資」と「健康投資施策の取り組み状況に関する指標」は1対1で対応する。
しかし、中には複数の「健康投資施策の取り組み状況に関する指標」に対応する「健康投資」も存在するため、そのような「健康投資」を「様々な効果に関連する健康投資」とする。
当社は健康で活力ある会社を目指し、全社健康管理責任者(人材開発センター部長)が全社の健康管理全般についての統括を行い、健康サポート室、ライオン健康保険組合が、一体となって施策の企画・立案を行っています(健康管理推進委員会)。さらに、各事業所の健康管理責任者および産業保健推進者、産業保健スタッフ(産業医・保健師等)が連携し、組織的に従業員の健康管理を推進しています。
健康サポート室はすべての事業所(11地区)に設置され、産業保健スタッフが健康管理業務を行っています。各地区の健康サポート室は、本社健康サポート室と連携し、当該地区の健康管理業務の運営管理、健康保持増進を目的とした諸施策の運営・推進を行っています。
本社健康サポート室では、全社健康管理方針及び基本計画や年間計画の策定、企画運営、各統計取りまとめ等の役割を担っています。
従業員が「働きがい」を高め、多彩な能力を発揮できるよう、健康において自律した力を養えるようサポートし、パーパス「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」を体現する人材集団の形成を目指して活動しています。4つの重点施策を核として、「健康管理の深化」、「健康行動の習慣化」、「ヘルスリテラシーの向上」により、健康経営の基盤強化を推進しています。4つの重点施策に対する投資額は(2023年度)1,750万円でした。
* Good life Enhancement for (K)今日を(I)愛する。
「見れば分かる(健康状態、対策、将来リスク)」 「自己管理ができる(セルフチェック)」 「楽しく健康づくりに取り組める」をコンセプトに健康管理システム“GENKIナビ”を開発しました。PCだけではなく、スマートフォンアプリからもアクセス可能であり、従業員の「健康行動の習慣化」、「ヘルスリテラシーの向上」を目指しています。また、2022年4月18日からは、従業員の健診データより「将来の健康リスク」を見える化する機能を追加しました。保健指導に“リスク予測結果”を活用することにより、生活習慣の振り返り、行動変容の動機づけを行うことを目的としています。
次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーとして、従業員が予防歯科習慣を身につける取り組みに注力しています。
* むし歯等になってから治療するのではなく、なる前の「予防」を大切にする考え方。歯科医院等でのプロケアの実施と毎日のセルフケアの両方を継続して実践すること
予防歯科については、1970年代から社内歯科健診とブラッシング指導、スケーリングやクリーニング、講演会による教育等を継続して実施してきました。
2002年から健康保険組合、ライオン歯科衛生研究所(LDH)と協力・連携して、「全ての従業員を対象に口腔の定期健診と一次予防を中心とした口腔保健管理を行うこと」、「従業員の健康管理能力の向上を支援すること」を活動の基本とし、「All Lion Oral Health Activity (ALOHA)」を開始しました。歯科保健プログラムは三か年計画でPDCAを回し、現在は「ALOHA Ⅶ」として活動を実践中です。
従業員の予防歯科の実践を重視し、従業員が、かかりつけの歯科医院を持ち、定期的にプロフェッショナルなケアを受けることをプロケアと称し、そのきっかけづくりとして、期間限定でプロケア受診の奨励金キャンペーンを展開しています。プロケア受診の必要性を伝えるとともに、参加者にはオリジナルロゴのステッカーやリモート背景画像を配布する等「受診したくなる」様々なしかけづくりをしています。
当社では、定期健康診断と同時に実施しているがんの一次検診とは別に、より精度の高いがん検診の費用補助を行う「3大がん*対策補助金制度」を2021年より導入しました。合わせて、従業員のがんリテラシー向上を目的としたセミナーを定期的に開催しています。
2024年からは、従業員が、3大がんの罹患リスクが高まる時期に、精度の高い検査を確実に受けられるよう40歳以降の節目年齢を対象に変更しました。また、一次検診で精密検査が必要となった際は、健康保険組合が受診費用を補助する制度を開始し、アブセンティーズム低減に向け、さらに強化した施策へと改変しています。
厚生労働省が推進する「がん対策推進企業アクション」において、当社の積極的な取り組みに対し、令和4年度の「がん対策推進優良企業」として令和3年度に引き続き2度目の表彰を受けました。さらに、令和5年度は「がん対策推進パートナー賞(治療と仕事の両立部門)」を受賞しました。
* 肺がん、胃がん、大腸がん
職場における受動喫煙防止策として、喫煙者へ禁煙支援と環境整備を推進しました。環境整備では、2020年1月より就業時間内の禁煙、同年4月より建屋内の禁煙をルール化しました。また、2022年より健康保険組合は、禁煙外来受診費用の補助制度を開始し、2024年からは、健康ポイントでのインセンティブミッションを追加するなど禁煙への取り組みを継続して行っています。
健康診断の項目は、法定を上回る項目内容で実施しています。また、全社で統一した判定基準をもち、事業所や健診機関が異なっても、同じ判定結果に基づいた事後措置を実施しています。要再検査や要精密検査となった対象者には、産業医や看護職が個別に指導し、受診勧奨の他、必要時、専門医への紹介受診に繋げています。
* 40歳時は上記に加えB・C型肝炎、胃がんリスク検査を健診と同時に実施
当社における特定健診、特定保健指導は、健康サポート室とライオン健康保険組合が協力して実施しています。健診受診者にとって生活習慣病の改善に向けて効果的かつ明確な動機づけとなるよう支援しています。
特定保健指導の対象者には、ライオン健康保険組合及び人材開発センター部長の連名で保健指導の受診勧奨を行っています。また、積極的支援は、健康保険組合専任の管理栄養士や豊富な知識と経験のある社外事業者と契約し実施しています。
*1 日本人の死亡原因の約6割を占める生活習慣病の予防のために、内臓脂肪型肥満(メタボリックシンドローム)の該当者及び予備群を減少させるための特定保健指導を必要とする人を抽出するために行うものです。40歳から74歳までのすべての被保険者及び被扶養者に対して、特定健診が実施されています。
*2 特定健診の結果から、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善によるメタボリックシンドロームの予防が期待できる層に対して、専門スタッフ(保健師、管理栄養士等)による「情報提供」「動機づけ支援」「積極的支援」等の保健指導を行うことをいいます。
若年層の体重変化状況を検証した結果、男性従業員の86%は、入社後10年で体重が5%以上増加していることがわかりました。そこで、30代肥満者に対し、健康意識の向上と将来の特定保健指導対象者の減少を目的に、生活習慣の改善をサポートする取り組みを2022年に開始しました。2023年は、健康保険組合専任の管理栄養士と連携し、定期的な情報発信でサポートを強化しました。事後アンケートの結果、「体重を意識した」が最も多く、食習慣や運動習慣についても改善意識を高めることができました。従業員の満足度は60.6%でした。
健康診断の結果やレセプトデータの分析情報を活用したデータドリブンな健康経営を促進するため、部門横断プロジェクトを発足しました。複数の専門部門が連携し、強みを組み合わせることで、従業員の健康施策を充実するだけでなく、医療費の適正化に繋がる洞察を得ることを目指します。
当社は労働安全衛生法改正前の2006年より、ストレスチェックを実施しています。2020年からの新型コロナウイルス感染症の拡大により、生活様式と働き方に急激な変化が伴いました。この環境の変化による心理的な影響に対応するために、2020年はストレスチェックを2回実施しました(従来は年1回)。毎年、高い受検率を維持し2023年は98.3%でした。高ストレス者には、産業保健スタッフによる面談を行い、メンタルヘルス不調の予防に努めています。
また、組織の集計結果は、GENKIナビで職制がいつでも閲覧できる環境を整えました。特に高ストレス者の割合の高い部所や総合健康リスク不良の部所には個別にヒアリングを行うなど、きめ細かな対応を行い、職場と医療職が連携して職場環境の改善に取り組んでいます。
新型コロナウイルス感染症拡大予防対策として、対策本部をいち早く立ち上げました。従業員の安心・安全を確保するため、迅速に検査が受けられるような環境整備、従業員に啓発メールの発信、さらに、職域接種を東西2会場で従業員および協力会社社員等対象に、3回目接種まで実施しました(2022年3月)。
冬期のインフルエンザ流行に備えて、インフルエンザワクチン接種の全額・会社費用負担を決定し、各事業所での予防接種を実施しました。
国内から海外に出張や駐在する従業員については、ガイドブックを作成しています。渡航前の予防接種や渡航中の健康管理、不調時の相談窓口やサービスを明確にし、健康サポートの充実を図っています。
当社は、コロナ禍での外出自粛等の影響から、2020年の従業員肥満率は25%超と増加し、深刻な健康課題であると認識しました。そこで、感染症対策をはじめ、ライフスタイルが大きく変化する中でも、楽しく前向きにより良い習慣づくりをサポートするため、2022年GENKIナビに健康ポイント機能を追加しました。2023年の参加申込は春・秋開催とも1,000名を超え、実施後のアンケートでは、半数以上の従業員は歩数が増加し、満足度は90%以上でした。
2024年は、健康ポイント獲得のミッションとして社内コミュニケーションや禁煙も追加し、楽しく健康行動が習慣化できるよう工夫しています。
併せて、日頃の感謝のメッセージとともに健康ポイントを他者へプレゼントできる機能も付加し、一層の社内コミュニケーション活性化を進めています。
定期的に給食委員会を開催し、従業員食堂の充実を図っています。従業員の健康に配慮し、ヘルシーで美味しい食事の提供を心がけています。また、すべてのメニューにカロリー・塩分・糖度を表示し、減塩醤油を置く等の工夫をしています。
従業員の健康増進のために、様々なスポーツ活動の支援や促進に向けた取り組みを行っており、Sport in Life コンソーシアムに加盟しています。 従業員へのスポーツ活動促進として、健康保険組合と連携したウォーキングイベントの実施、身体活動量を増やすコツ等の情報発信、40年以上続く文化体育会活動のほか、当社ラグビー部「ファングス」による従業員への筋力トレーニングレッスンを実施しています。また、一般市民向けのウォーキングイベントへの協賛、千葉県や宮城県石巻市での子ども向けラグビースクールの開催など、スポーツを奨励しています。
これらの取り組みが評価され、「東京都スポーツ推進企業2023」、さらに3年連続「スポーツエールカンパニー2024」に認定されました。
2023年4月に移転した蔵前本社には、環境づくりで健康行動の習慣化を促しています。
従業員の健康状態や予防・健康づくりへの取り組み状況等を経年的かつ全社平均との比較を見える化した健康白書「GENKIレポート」を2022年より毎年発行し、各事業所の健康管理責任者、産業保健推進者と共有しています。「GENKIレポート」はDX部門と連携し、事業所や組織毎にレーダーチャートを用い、ランクアップへの目安人数を記載するなど、自組織の健康状況を把握し、健康増進活動への活用を目指しています。
GENKIナビでは、従業員が常時セルフチェックを行える環境を整備し、いつでも自身のストレスプロフィールを確認して、セルフケアに役立てることができます。また、セルフケアに関する教育機会は、入社時(中途採用者含む)に加え、従業員全員が年に1度研修を受講しています。管理職のラインケア研修についても、年に1度必修受講としています。
2013年より、満50歳の従業員を対象にした半日の健康セミナーを毎年実施しています。50歳という節目のタイミングにおいて、人生100年時代を見据えて今後の健康、仕事、家庭生活、人生等多面的な視点から自分自身の置かれた状況を振り返り、新たな気持ちでいきいきと働ける気付きを得られる機会にしたいと考えています。
従来、集合研修を行っていましたが、新型コロナ感染症拡大の影響から、2022年よりオンラインセミナーと動画視聴を組み合わせて開催しています。参加率は上昇し、対象者のほとんどが参加しています。終了後のアンケート結果では、参加者の約9割が全コンテンツにおいて「理解できた」と回答し、満足度は88.1%でした。具体的で分かりやすく、受講者年代の視点にたった講義内容が大変好評でした。
性特有の健康課題に対し、ヘルスリテラシー向上を目的としたオンラインセミナーを定期的に開催しています。セミナーは録画し、アーカイブとして社内配信することで、従業員がいつでも視聴できる環境を整え、ウェルビーイング向上を進めています。
女性の活躍推進に課題意識を持っていた研究所有志が集まり「ウェルビーイングラウンジ」を結成し、ウェルビーイング向上に必要なヘルスリテラシーレベルを上げるための活動を行いました。2022年、この活動を全社に展開し、女性特有の健康課題に対する理解を深めました。
2023年には、妊活・不妊治療相談窓口(外部)を開設。女性の精神的不調ケアをメインにwebアプリサービス提供を開始している「CoCoRe(ココリー)*」事業と提携し、匿名で事前に従業員の疑問や困りごとを受付け、セミナー当日に医師が回答する形式で開催し、女性特有の健康課題解決や理解を深める活動を継続して推進しています。リアルタイムでは延べ119名が参加し、満足度は94%でした。
* CoCoRe(ココリー)事業:女性特有の精神的不調をメインとしたヘルスケアセミナーや、"考え方のくせ"を変えて日々を過ごしやすくするwebアプリケーションを2023年6月より提供開始。
「ウェルビーイングラウンジ」は、2023年主に男性特有の健康課題に着目した活動を行いました。更年期や妊活、人には聞きづらい困りごとをテーマに、匿名で参加し、医師に相談できる機会を設けました。リアルタイムでは、延べ172名が参加しました。
当社の従業員の「健康行動の習慣化」を目指した活動および予防歯科活動で蓄積してきたノウハウ・データとIoT・AIを掛け合わせて生まれた唾液検査や健康リスク予測ツールなどの技術やサービスの提供など、従業員に留まらず幅広い人々の健康増進に寄与する活動を高く評価いただき、「健康経営銘柄2024」に2年連続、「健康経営優良法人~ホワイト500~」に2017年から8年連続で認定されました。
これらの健康経営施策について、従業員アンケートを行った結果、満足度は55.0%でした(回答者数1,687人、回答率45.9%)。
今後も従業員の健康保持・増進に努め、それぞれの自己成長・人生の充実につなげるとともに事業を発展させ、さらなる企業成長につなげてまいります。
* “GENKI”アクション対象者のデータ
* 歯みがき回数一日2回以上 かつ歯みがき時間3分以上
* 2014年度オーラルケア総合実態調査(20〜59歳女性)
* 2014年度オーラルケア総合実態調査(20〜59歳女性)
* 一年間のうち定期的に歯科医院に行き、クリーニングを受けている者(治療中は除く)
* 平成28年歯科疾患実態調査(厚生労働省)20〜59歳
* 平成28年歯科疾患実態調査(厚生労働省)20〜59歳
ライオン従業員予防歯科関連データ詳細はこちら当社では予防歯科を広めるために、自社以外にも企業向けオーラルケアセミナーを実施しております。
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